運輸安全委員会事故調査報告書【H25年2月22日公表】
- 投稿日時:2013-02-22 00:00:29 (1224ヒット)
【鉄道事故:4件】
番号 | 事業者、事故種類、発生日時・場所 | class="w30"事故概要 | 原因 |
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1 |
○東日本旅客鉄道株式会社 ○列車脱線事故 ○H23.3.11(金)14:47ごろ ○宮城県仙台市 東北新幹線 仙台駅構内 東京駅起点326k285m付近 |
東日本旅客鉄道株式会社の東北新幹線仙台総合車両所発、白石蔵王駅行き10両編成の試第7932B列車は、平成23年3月11日、仙台総合車両所を定刻に出発した。 列車が速度約72km/hで仙台駅構内に進入中、運転士は強い揺れを感じると同時に、車内信号機に停止信号が現示されたのを認めたため、直ちに非常ブレーキを使用した。 列車の停止後、車内及び車外から列車を確認したところ、4両目の前台車の2軸が左に脱線していた。 列車は、試運転列車であり、車両検修員12名及び乗務員1名が乗車していたが、死傷者はいなかった。 なお、同日14時46分ごろ、宮城県沖を震源とするモーメントマグニチュード9の「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」が発生し、宮城県北部で最大震度7の揺れが観測された。 |
本事故発生前には軌道を含めた鉄道施設、列車及び運転取扱いに問題はなかったと推定されること、また、列車が脱線した時刻は東北地方太平洋沖地震の主要動が仙台市内に到達した時刻の直後と推定されることから、列車は東北地方太平洋沖地震の本震による地震動を受けたために脱線したと推定される。なお、脱線した車両の前台車全2軸のみが脱線した理由は明らかにすることができなかった。 脱線に至る過程としては、まず東北地方太平洋沖地震の地震動の周波数成分のうち、本事故現場の高架橋の固有周波数とおおむね一致する周波数成分が、構造物の共振現象により増幅されて高架上で大きな変位として現れたこと、そして、その周波数成分が、車両に上心ロールを生じさせやすい周波数帯にあったことから、車両に上心ロールが生じて脱線に至ったと考えられる。 被害が拡大しなかったことについては、早期に列車を停止させるシステムが動作して脱線直前には低速(約14km/h)になっていたこと、また逸脱防止ガイドが機能して脱線した(4両目)車両が軌道から大きく逸脱しなかったことが関与したと考えられる。 |
番号 | 事業者、事故種類、発生日時・場所 | 事故概要 | 原因 |
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2 | ○西武鉄道株式会社 ○列車脱線事故 ○H23.12.24(土)16:39ごろ ○東京都東村山市 ○西武園線 東村山駅構内 |
西武鉄道株式会社の西武園駅発西武新宿駅行き8両編成の上り普通第6352列車は、平成23年12月24日、西武園駅を定刻に出発した。 列車の運転士は、東村山駅5番線に向けて、東村山駅構内の67号分岐器を、速度約32km/hで通過後、列車の最前部が66号イ・ロ分岐器を通過した辺りで、車両が後ろに引かれる感じがしたので、計器類を確認したところ、運転士知らせ灯が一瞬消灯したことを認め、直ちに非常ブレーキを操作し、約21m進んで停止した。 停止後、列車の状況を確認したところ、7両目の前台車第1軸及び第2軸が右側に脱線していた。 列車には乗客約450名、乗務員2名が乗車していたが、死傷者はいなかった。 |
本事故は、列車の7両目の前台車第1軸右(外軌側)車輪が、内方分岐器である67号分岐器の外軌側トングレールに乗り上がったため、本来の進行方向ではない基準線側に進入し、その後、分岐線側に進入していた先行する車両に引っ張られたことにより、分岐線側レールの右側へ脱線したものと考えられる。 内方分岐器である67号分岐器の外軌側トングレール先端部において、外軌側車輪が乗り上がったことについては、 (1) 内方分岐器において分岐線側に分岐する箇所は、曲線半径が急激に小さくなるため、アタック角の増加により限界脱線係数が低下する箇所であるが、内方分岐器である67号分岐器においては、外軌側トングレールの頭部が摩耗し、外軌側基本レールの方へ傾くように変形していたことにより、外軌側トングレールと車輪のフランジとの接触角が小さくなって、限界脱線係数が更に低下し、車輪が乗り上がりやすい状態となっていた、 (2) 列車の通過速度が、均衡速度より低かったことにより、内軌側車輪の輪重の増加に伴い、外軌側車輪への横圧が増加するとともに、外軌側車輪の輪重が減少していた、 (3) 外軌側車輪では、輪重の減少と横圧の増加により、脱線係数が増加していた と考えられることから、これらの要因が重なったことにより発生したものと考えられる。 |
番号 | 事業者、事故種類、発生日時・場所 | 事故概要 | 原因 |
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3 |
○日本貨物鉄道株式会社 ○列車脱線事故 ○H24.2.16(木)20:51ごろ ○北海道勇払郡 ○石勝線 東追分駅構内 |
日本貨物鉄道株式会社の釧路貨物駅発札幌貨物ターミナル駅行き16両編成の上り高速貨第2092列車は、平成24年2月16日、雪の影響によりダイヤが乱れていたため、帯広貨物駅を定刻より22分遅れて出発した。 途中、川端駅に進入する際、列車の運転士は、北海道旅客鉄道株式会社の輸送指令から川端駅で下り特急気動車と行き違いを行うダイヤから、次駅の東追分駅で行き違うダイヤに変更する指示を受けた。列車は川端駅に停車の直前であったため、運転士は同駅で一旦停車した後、直ぐに出発させた。 運転士は、東追分駅に停車するため速度を落とそうとブレーキの操作をしたにもかかわらず、列車の速度が落ちず東追分駅の上り安全側線に進入し、車止めを突破して脱線し、雪覆い(スノーシェルター)に衝突した。 これにより、16両編成の先頭から5両目までの車両が脱線した。 列車には運転士1名が乗務していたが、負傷はなかった。 |
本事故は、運転士が輸送指令の指示に従い列車を東追分駅に停車させようとブレーキ操作を行ったにもかかわらず、貨車のブレーキ装置(ブレーキ力の伝達機構)に雪が固着してブレーキ装置の作動を阻害したため、列車を停車させるための十分なブレーキ力が得られなくなり、所定の停止位置に停止することができず上り出発信号機を越え、安全側線に進入し、脱線したものと推定される。 貨車のブレーキ装置(ブレーキ力の伝達機構)に雪が固着したままとなったのは、列車の走行時の気温が氷点下であったこと及び走行中に更に付着した雪が冷やされ凍ったことによるものと考えられる。 また、列車が本事故発生までの間、特段異常なく所定箇所で停車できたのは、途中で停車した駅等が上り勾配の箇所であったことから、速度が上がることなく低い速度で駅等に進入することができたことにより、ブレーキ力が低下していたとしても列車を停車させるには特に影響を及ぼさなかったものと考えられる。 |
番号 | 事業者、事故種類、発生日時・場所 | 事故概要 | 原因 |
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4 |
○北海道旅客鉄道株式会社 ○列車脱線事故 ○H24.3.7(水)19:33ごろ ○北海道増毛郡増毛町 ○留萌線 箸別駅~増毛駅間(単線) 深川駅起点65k446m付近 |
北海道旅客鉄道株式会社の深川駅発、増毛駅行き1両編成の下り普気第4931D列車は平成24年3月7日、箸別駅を定刻に出発した。 箸別駅を発車後、列車の運転士は、速度約55km/hで惰行運転中、前方約100mのところに線路を支障する雪混じりの土砂を認めたため、直ちに非常ブレーキを使用したが間に合わず、これに乗り上げて前台車全軸が右へ脱線した。 列車には乗客1名及び乗務員1名が乗車していたが、負傷者はいなかった。また、列車は、運転席側の前面ガラスやスノープラウ等の床下機器の一部が損傷した。 |
本事故は、斜面で発生した土砂崩壊によって線路へ流入した土砂等に気付いた列車の運転士が非常ブレーキを使用したが間に合わず、列車が土砂等に乗り上げたために脱線したことにより発生したものと認められる。 斜面で土砂崩壊が発生したことについては、元来水が集まりやすい地形を呈する箇所で、風化等によって劣化が進行していた斜面の表層部が、融雪水等の浸透によって軟質な地層中の地下水位が上昇した結果、地山が不安定化して崩壊が発生した可能性があると考えられる。 |
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