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運輸安全委員会事故調査報告書【H29年6月29日公表】

投稿日時:2017-06-29 00:00:42 (1113ヒット)

【鉄道事故:2件】

番号 事業者、事故種類、発生日時・場所 事故概要 原   因
○西日本旅客鉄道株式会社
○列車脱線事故
○H28.6.23(木)0時33分ごろ
○広島県広島市
 山陽線 瀬野駅~八本松駅間(複線)
神戸駅起点286k695m付近
岩国駅発白市駅行き4両編成の上り普通第1584M列車は、平成28年6月23日、瀬野駅を定刻(23時59分)から約31分遅れて出発した。
列車の運転士は、速度約80km/hで瀬野駅~八本松駅間を運転中、前方の線路上に土砂等を発見したため、直ちに非常ブレーキを使用したが、列車は線路上に流入していた土砂等に衝突し、これらに乗り上げて停止した。
その後の調査の結果、列車は、1両目の前台車全2軸が右側に脱線していた。
列車には、乗客124名及び乗務員2名(運転士1名、車掌1名)が乗車しており、運転士が負傷した。
本事故は、雨水が斜面に流入し同斜面が崩壊したため、土砂等が線路内に流入し、列車が乗り上げたことにより脱線したものと推定される。
斜面が崩壊したことについては、事故現場周辺の降雨により斜面周辺の雨水が道路横断排水溝に集中的に流れ込み、同排水溝の下流側の排水設備が未整備であったことから、同斜面に導水され、不安定な状態となったことにより、発生したものと考えられる。
再発防止策 本事故は、雨水が斜面に流入し同斜面が崩壊したため、土砂等が線路内に流入し、列車が乗り上げたことにより脱線したものと推定される。
そのため、事故現場において同種の事故を防止するためには、線路内に雨水等が流入しないよう、道路横断排水溝の下流側の排水設備の整備を関係者間で協議して確実に行うほか、斜面防護工等の対策を行うことが望ましい。
また、本事象を踏まえて、斜面の定期検査等において発生が想定される災害の形態とその規模を的確に把握するため、必要となる情報の更なる収集や調査に努めていくことが望ましい。
さらに、同社用地外で措置等が必要となる情報については、必要に応じてその管理者に改修等の依頼や情報提供を行い、関係者間において早めに対応を検討することが望ましい。

参考資料1(JR西日本・山陽線)

番号 事業者、事故種類、発生日時・場所 事故概要 原   因
2 ○西日本旅客鉄道株式会社
○列車脱線事故
○H28.7.14(木)5時38分ごろ
○広島県三次市
○芸備線 西三次駅~志和地駅間(単線)
備中神代駅起点95k854m付近
三次駅発広島駅行き4両編成の下り第1851D列車は、西三次駅を定刻(5時34分)に出発した。
列車の運転士は、速度約70km/hで力行運転中、青河トンネル出口付近で前方の線路内を支障している土砂があるのを認めたため、非常ブレーキを使用したが、列車は岩塊の混じった土砂に乗り上げて停止した。
確認したところ、1両目の前台車第2軸及び後台車第2軸が右側に脱線していた。
列車には、乗客24名、乗務員2名(運転士1名、車掌1名)及び施設管理係1名が乗車していたが、負傷者はいなかった。
本事故は、線路左側の縦下水上部の斜面の沢から流れた水に運搬された土砂が縦下水を越流したため、線路内に流入した岩塊の混じった土砂に列車が衝突して乗り上げたことにより脱線したものと推定される。
土砂が縦下水を越流したことについては、事故発生場所周辺にもたらされた局地的な大雨による雨水が沢を流下した際、沢の下流の渓床堆積物が浸食されて土砂となり、縦下水上部まで運搬され、縦下水の吞み口を閉塞したことによるものと考えられる。
再発防止策 本事故は、本件斜面の沢に堆積していた渓床堆積物が線路内に流入したことによって発生したものと考えられるが、通常全般検査や運転規制等により土砂が線路内に流入することを事前に予測して事故を未然に防止することは困難であったものと考えられる。
しかしながら、事故発生場所においては、縦下水の呑み口が土砂で閉塞されたことにより、沢から流れた水に運搬された土砂が縦下水を越流して線路内に流入したものと推定されることから、土砂によって縦下水の吞み口が再び閉塞されることがないように措置を講ずることが望ましい。
上記の措置が講じられるまでの間においては、出水期前や降雨による徐行規制値などを目安として事故発生場所の状況の確認を行うこととともに、徐行規制解除後の初列車については、被害を軽減させるために事故発生場所付近を徐行するなどの措置を講ずることが望ましい。
なお、本事象を踏まえ、本事故発生場所と同様の箇所(沢地形で表面水があり縦下水の上部に渓床堆積物がある箇所)の洗い出しを行うとともに、排水設備の構造やその周辺の状況などに応じて、本事故発生場所と同様の箇所を重点警備箇所に設定するなどの措置を講ずることが望ましい。
また、本件斜面は、同社用地外であることから、同社は、必要に応じてその土地の所有者など関係者と対策について協議することが望ましい。

参考資料2(JR西日本・芸備線)