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運輸安全委員会事故調査報告書【H26年10月31日公表】

投稿日時:2014-10-31 00:00:23 (1388ヒット)

【鉄道事故:3件】

番号 事業者、事故種類、発生日時・場所 事故概要 原   因
○神戸電鉄株式会社
○列車脱線事故
○H25.5.28(火)19時59分ごろ
○兵庫県神戸市
三田線 有馬口駅構内
神戸電鉄株式会社新開地駅発道場南口駅行き4両編成ワンマン運転の下り普通第19001列車は、平成25年5月28日、三田線有馬口駅2番線を定刻に出発した。
列車の運転士は、同駅構内の分岐器を速度約25km/hで惰行運転中、異音を感じ、直後に大きな音を聞いたため、非常ブレーキを使用して列車を停止させたところ、2両目の前台車が本来の進路と異なる有馬温泉駅方面に進入し、全2軸が右へ脱線していた。
なお、1両目、2両目の後台車及び3両目は、本来の進路である道場南口駅方面に進入して停止していた。
本事故は、三田線有馬口駅2番線を出発した列車が、有馬口駅構内の両開き分岐器を通過後、ダブルスリップスイッチのポイントの右トングレール先端付近で、2両目の前台車第1軸の右車輪のフランジがトングレールに乗り上がり、本来の進路と異なる有馬温泉駅方面に進入して脱線したものと考えられる。また、前台車第2軸は、ダブルスリップスイッチのポイントでは本来の進路に進入したが、第1軸の異線進入の影響により、ダブルスリップスイッチ内で右へ脱線したものと考えられる。
2両目の前台車第1軸の右車輪が乗り上がったことについては、軌道、車両、電気設備及び運転状況はそれぞれ同社の基準値又は使用限度値等内の状態にあったが、
(1) 車両の長さ(18.14m)よりも短い、1車両の第1軸から第4軸までの距離の範囲で、車両がS字状の線形を走行したことにより、車両の前台車第1軸が走行したときの横圧が大きくなったこと、
(2) 事故現場に敷設されていた入射角を有するダブルスリップスイッチのトングレール先端付近においては、通り変位が曲線半径を小さくする側に変化していたことから、比較的大きな横圧が発生しやすかった可能性があること、
(3) 車両の車輪は、設計断面に比べてフランジが直立に摩耗していたことから、トングレール先端付近において、車輪のフランジ先端がトングレールに近づいており、車輪のフランジ先端がトングレールに接触して乗り上がる可能性があったこと
が、複合したことによると考えられる。
2 ○甘木鉄道株式会社
○列車脱線事故(踏切障害伴うもの)
○H26.3.16(日)  9時16分ごろ
○福岡県三井(みい)郡大刀洗(たちあらい)町
甘木(あまぎ)線 西太刀洗(にしたちあらい)駅構内
基山(きやま)駅 起点 8k428m付近
甘木鉄道株式会社の甘木駅発本山行き1両編成ワンマン運転の上り普通第90列車は、平成26年3月16日(日)、山隅駅を定刻(9時14分)に出発した。
列車の運転士は、直線区間で速度約65km/hからブレーキを使用中、前方の十文字踏切道の直前で、踏切内右側から進入してきたし事業用普通貨物自動車を認め、非常ブレーキをしようしたが間に合わず、列車は同自動車と衝突し、約14m走行した後、停止した。
この事故により、乗客等8名が負傷した。
本事故は、列車の接近により踏切遮断かんの降下が完了している十文字踏切道内に、事業用普通貨物自動車(トラック)が進入したため、列車の運転士が非常ブレーキを使用したが間に合わず、列車とトラックが衝突したことにより、列車が脱線したものと推定される。
踏切遮断かんの降下が完了している十文字踏切道内にトラックが進入したことについては、トラック運転者が同踏切の存在に気付くのが遅れ、同踏切の直前になってブレーキを掛けたが間に合わなかったためと考えられる。
3 ○東海旅客鉄道株式会社 ○踏切障害事故 ○H26.4.12(土) 13時13分ごろ ○長野県飯田市 飯田線 伊那(いな)上郷(かみさと)駅~元善光寺(もとぜんこうじ)駅間(単線) 豊橋駅 起点 133k418m付近 東海旅客鉄道株式会社の天竜峡発茅野駅発行き2両編成の下り普通第225M列車は、平成26年4月12日(土)、伊那上郷駅を定刻(13時10分)に出発して、速度60~65km/hで半径400mの曲線を惰行運転中、約70m前方にある湯沢踏切内の右レール付近に、右側を向いた農耕トラクタを認めたため、直ちに非常ブレーキを使用すると共に気笛を吹鳴したが間に合わず、列車は右側が農耕トラクタと衝突し、約140m走行した後、停止した。
この事故により、脳横トラクタの運転者が死亡した。
本事故は、小型特殊自動車の通行が禁止されている湯沢踏切道に、トラクタが進入したものの通過しきれず、列車と衝突したことにより発生したものと考えられる。
列車が湯沢踏切道に接近していることに気付かずに運転者がトラクタを踏切道へ進入させたのは、踏切道の幅員が狭く、また、通常はトラクタで通行することのない踏切道であったことから、運転者が、踏切道の通行に際してトラクタの運転に意識が集中していたことが影響した可能性があると考えられる。
また、トラクタの通行が禁止されている同踏切道にトラクタを通行させたのは、作物を運ぶために運搬車を日常的に通行させていたことが関与した可能性があると考えられる。

参考資料1 (神戸電鉄 三田線 )

参考資料2 (甘木鉄道 甘木線)

参考資料3 (JR東海 飯田線)