一般社団法人 日本鉄道電気技術協会

お知らせ

TOP > お知らせ > 運輸安全委員会事故調査報告書【H26年2月28日公表】

運輸安全委員会事故調査報告書【H26年2月28日公表】

投稿日時:2014-02-28 00:00:31 (1305ヒット)

【鉄道事故:2件】

番号 事業者、事故種類、発生日時・場所 事故概要 原因
1 ○富山地方鉄道株式会社
○列車脱線事故
○H24.3.30(金)11時50分ごろ
○富山県黒部市
本線 内山(うちやま)駅構内(単線)
富山地方鉄道株式会社の本線宇奈月温泉(うなづきおんせん)駅発電鉄黒部(でんてつくろべ)駅行き1両編成の上り回送第40232列車(除雪車両)は、平成24年3月30日、宇奈月温泉駅を11時40分に出発した。
列車の運転士は、内山駅に進入する直前で異音と衝撃を感じたため、非常ブレーキを使用して列車を停止させたところ、列車の前軸の車輪が左へ脱線しているのを確認したため、指令に脱線した旨を連絡した。
 列車には運転士1名及び鉄道係員2名が乗車していたが、負傷者はいなかった。
本事故は、半径200mの右曲線において、回送列車(除雪車両)の前軸の外軌側(左)車輪の脱線係数が増加するとともに、限界脱線係数が低下したため、外軌に乗り上がって左に脱線したものと考えられる。
脱線係数が増加したことについては、通り正矢が曲線半径を小さくする方向に変化していたこと、5m平面性変位が大きくなっていたこと及び除雪車両がカント超過の状態で走行したと考えられることから、横圧が増加するとともに輪重が減少したことによるものと考えられる。
なお、除雪車両において、前軸が後軸に比べて軸重が軽くなっていたことも、平面性変位が大きな区間を走行する際の前軸の輪重の減少に関与していた可能性があると考えられる。
限界脱線係数が低下したことについては、通り正矢が曲線半径を小さくする方向に変化していたことにより、除雪車両の前軸のアタック角が大きくなったことによるものと考えられる。
2 ○東日本旅客鉄道株式会社
○列車脱線事故
○H25.2.8(金)21時15分ごろ
○青森県むつ市
大湊(おおみなと)線 下北(しもきた)駅~大湊駅間(単線)
野(の)辺地(へじ)駅起点56k378m付近
東日本旅客鉄道株式会社野辺地駅発大湊駅行きの2両編成下り普通第737D列車は、平成25年2月8日、ワンマン運転で定刻より19分遅れで下北駅を出発した。
列車が速度約60km/hで三本松踏切道付近を走行中に運転士は衝撃を感じたため、直ちに常用ブレーキを使用して停止した。列車が停止した後運転士が確認したところ、列車は1両目車両の前台車全軸が左へ脱線していた。
列車には、乗客11名、運転士1名及び保線員1名が乗車していたが、死傷者はいなかった。
本事故は、列車が、三本松踏切道でレールやフランジウェイ内にできた氷状に硬くなった雪に乗り上げたのち左へ移動したため、脱線したものと考えられる。
本事故が発生したのは、強風による運転中止の間に事故現場付近で降雪、気温変化があり、この間に列車の通過のない三本松踏切道を多くのダンプカーが通過したことにより雪が踏み固められレールやフランジウェイ内に氷状に硬くなった雪が形成されたことが関与した可能性があると考えられる。

【鉄道重大インシデント:1件】

番号 事業者、インシデント種類、発生日時・場所 インシデント概要 原因
1 ○福井鉄道株式会社
○車両障害(鉄道事故等報告規則第4条第1項第8号の「車両の走行装置、ブレーキ装置、電気装置、連結装置、運転保安設備等に列車の運転の安全に支障を及ぼす故障、損傷、破壊等が生じた事態」に係る鉄道重大インシデント)
○H24.6.19(火)8時23分ごろ
○福井県福井市
福武(ふくぶ)線 三十八社(さんじゅうはっしゃ)駅構内
福井鉄道株式会社の福武線田原町(たわらまち)停留場発神明(しんめい)駅行き2両編成ワンマン運転の上り第750列車の運転士は、平成24年6月19日、同列車が三十八社駅に到着したときに、同駅に停車していた対向列車の運転士から1両目の右側後部の旅客用乗降口の扉が開いた状態で進入してきたと連絡を受けた。
連絡を受けた第750列車の運転士が車両を点検したところ、1両目の右側後部の旅客用乗降口の扉が開いていた。
列車には1名の乗客と運転士が乗車していたが、転落等による負傷者はいなかった。
本重大インシデントは、旅客用乗降口の扉を開閉する機構において、戸閉め機械と扉をつなぐアームを戸閉め機械に取り付ける部分で、2本の取付ボルトのうち1本が脱落し、残りの1本が緩んでいたために、扉が戸閉め機械の開閉動作に関係なく動く状態となって、駅に到着する際の列車の減速等による慣性力により、扉が列車の進行方向へ開いたことにより発生したと考えられる。
  ボルトが脱落及び緩んでいたことについては、ボルトに損傷がないこと、短い期間でボルトが脱落及び緩んでいたと考えられることから、締付不足、又は、がたつきのあるボルト及びナットを使用したことによる可能性があると考えられる。

【鉄道事故の経過報告:1件】

番号 事業者、事故種類、発生日時・場所 事故概要 記載内容
1 ○日本貨物鉄道株式会社
○列車脱線事故
○H25.9.19(木)18時05分ごろ
○北海道亀田郡(かめだぐん)七飯町(ななえちょう)
函館線 大沼駅構内
日本貨物鉄道株式会社(以下「JR貨物」という。)の帯広貨物駅発熊谷貨物ターミナル駅行き18両編成の臨高速貨第8054列車(以下「本件列車」という。)は、平成25年9月19日(木)、東室蘭操車場を定刻(14時04分)に出発した後、大沼駅の2番上副本線に定刻より2分遅れの17時15分に到着した。
本件列車の運転士は、大沼駅に到着した列車を定刻(18時04分)に出発させて速度約20㎞/hで力行運転中、後ろから引っ張られるような感覚とともに、運転台の圧力計によりブレーキ管圧力の低下とブレーキシリンダ圧力の上昇を認めたため、直ちにマスコンをオフにしたところ、その直後に列車は停止した。
停止後、運転士が列車から降りて確認したところ、列車は、6両目(車両は機関車を含めて前から数え、前後左右は列車の進行方向を基準とする。)の後台車全2軸、7両目の前台車全2軸、8両目の全4軸及び9両目の前台車全2軸が脱線していた。
本件列車には運転士1名が乗務していたが、負傷者はいなかった。
なお、JR貨物は第二種鉄道事業者として、北海道旅客鉄道株式会社函館線の鉄道施設を使用して貨物の運送を行っている。
これまでの調査により判明した事項として、鉄道事故の概要、鉄道事故調査の概要、主要な事実情報、脱線の過程及び今後の調査事項について記載した。