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運輸安全委員会事故調査報告書【H22年12月17日公表】

投稿日時:2010-12-17 00:00:12 (1145ヒット)
番号 鉄道事業者、事故種類、発生日時・場所・列車 事故概要 原因
1 ○北海道旅客鉄道株式会社
○鉄道人身障害事故
○H21.12.28(月) 21:37ごろ
○北海道富良野市
 根室線 富良野駅構内
○滝川(たきかわ)駅発新得(しんとく)駅行き(1両編成)
本件列車は、ワンマン運転により滝川駅を定刻に出発した。列車の運転士は、富良野駅構内に進入した後、進路上に保守用車を認めてブレーキ操作を行ったが間に合わず、保守用車に衝突して停止した。 本事故は、保守用車の監督者と駅の信号扱い者との間で転線経路の認識に相違があるまま作業が行われたため、保守用車が列車と同じ線路上に進入することとなり、列車の運転士は前方に保守用車を発見しブレーキを掛けたが間に合わずに衝突し、これにより列車の乗客9名及び保守用車の係員3名が負傷したものである。
 転線経路の認識が双方で相違していたのは、余裕時間のない状況下で転線計画が策定されたことや保守用車が進行する際に着手承認の手続きが規定通りに行われなかった可能性があると考えられる。また、保線係員及び駅係員の双方とも列車防護による停止手配をとらなかったことから、列車と保守用車との衝突は避けられなかったものと考えられる。

(※)鉄道事故の番号1の報告書は所見あり

北海道旅客鉄道㈱鉄道人身障害事故における所見

本事故は、在線検知ができない状態の保守用車の転線計画策定や計画着手承認の手続きを構内無線を使用して行うという、最も注意を要し、安全に万全を期して臨むべき作業に対し、極めて短い時間に不確実な計画を策定し着手したうえ、異常が発生した後も適切な列車防護措置が取られなかったために発生したものと考えられる。また、その背後には、作業全般にわたり多くの問題点があったものと考えられる。

このため同社は、同種の事故の再発を防止するために、保守用車を使用した作業や保守用車の移動に関する作業を調査して実態を把握し、作業全般における問題点を抽出して対策を講じ、作業の関係者が関係する規定類を充分理解して安全確実な作業が行えるよう、安全管理体制を抜本的に立て直すことが必要である。

さらに、これらの実施に際しては、以下に示す 1 から 4 について留意することが必要である。

  1. 駅信号扱い者と保守用車使用工事監督者が、同じ認識を共有できるような打ち合わせ方法であること。
  2. 保守用車と他の列車及び車両との運転を分離する作業方法であること
  3. 保守用車の使用環境に応じ、各種鎖錠を有効活用できるように検討すること。
  4. 関係者に対する基本動作の再徹底を図ること。

※所見とは… 『法律の規定はなく、原因関係者等がとるべき措置や一般的な努力目標等について述べるものであり、措置義務はない。』