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運輸安全委員会事故調査報告書【H28年3月31日公表】

投稿日時:2016-03-31 00:00:02 (1966ヒット)

【鉄道事故:2件】

番号 事業者、事故種類、発生日時・場所 事故概要 原   因
○西日本旅客旅鉄道株式会社
○踏切障害事故
○H27.2.13(金)8時21分ごろ
○岡山県倉敷市
○山陽線 西阿知駅~新倉敷駅間(複線)
八人山踏切道(第1種踏切道)
岡山駅発福山駅行き6両編成の下り普通列車は、西阿知駅を定刻(8時19分)に出発した。列車の運転士は、速度約95km/hで惰行運転中、八人山踏切道の特殊信号発光機が停止信号を現示しているのを認めると同時に同踏切道内に停止している普通貨物自動車を認めたため、直ちに非常ブレーキを使用するとともに気笛を吹鳴したが間に合わず、列車は普通貨物自動車に衝突し、同踏切道から約210m行き過ぎて停止した。
列車には、乗客約300名、運転士1名及び車掌1名が乗車していたが、このうち乗客44名(うち、重傷者1名)及び運転士が負傷した。普通貨物自動車の運転者は、衝突時に踏切外に退避しており、負傷しなかった。
なお、列車は、1両目(車両は前から数え、前後左右は列車の進行方向を基準とする。)の車両前部及び1両目から2両目の車両右側の側面等が損傷したが脱線はしなかった。また、普通貨物自動車は大破したが、火災の発生はなかった。
本事故は、普通貨物自動車が八人山踏切道内に停止していたため、進行してきた列車が同自動車と衝突したことにより発生したものと認められる。
同自動車が同踏切道内に停止していたことについては、搭載されているトランス ミッションで変速のための切替え時に異常が発生し、エンジンの動力が伝わらなくなったことによる可能性があると考えられるが、本件トラックのコントロールユニットの記録に時刻の記録がないこと及び本事故発生直前のトランスミッションの状態が不明であることから、このような事態が発生したと特定することはできなかった。
同列車が同踏切道までに停止できなかったことについては、同列車の運転士が同踏切道の支障にすぐに気付けなかったことによるものと推定される。また、同運転士がこの支障にすぐに気付けなかったことについては、同踏切道の下り列車に対する特殊信号発光機が沿線の電化柱の死角に入り、下り列車の運転士が同特殊信号発光機の停止信号の現示を確認できない区間が300m以上にわたり存在したことが関与した可能性があると考えられる。
再発防止策 鉄軌道事業者は、踏切障害物検知装置等の設置を進める取組を継続させるとともに、各社の特殊事情を踏まえた適切な管理方法により、特殊信号発光機の建植位置を適切な場所とすることや、複数の特殊信号発光機を動作させることなどにより、その視認性を向上させ連続的に確保することが必要である。

番号 事業者、事故種類、発生日時・場所 事故概要 原   因
2 ○西日本旅客旅鉄道株式会社
○踏切障害事故
○H27.8.26(水)15時19分ごろ
○広島県広島市
○山陽線 白市駅~西高屋駅間(複線)
鍵谷第1踏切道(第4種踏切道:遮断機及び警報機なし)
岩国駅発白市駅行きの上り普通列車が、西高屋駅~白市駅間を速度約73km/hで走行中、列車の運転士は、鍵谷第1踏切道(第4種踏切道)に進入してきた軽貨物自動車を認め、非常ブレーキを使用したが、列車は同自動車と衝突した。
この事故により、軽貨物自動車の運転者が死亡した。
本事故は、列車が第4種踏切道である鍵谷第1踏切道に接近している状況において、軽貨物 自動車が同踏切道内に進入したため、列車と衝突したことにより発生したものと認められる。
軽貨物自動車の運転者が列車接近中の鍵谷第1踏切道内に軽貨物自動車を進入させたことについては、同自動車の運転者は、同踏切道の手前に同自動車を一時停止させて列車確認を行っていたと考えられるものの、列車の接近を正確に認識していなかったことによるものと考えられるが、同自動車の運転者が死亡したため、詳細を明らかにすることができなかった。
軽貨物自動車の運転者が列車の接近を正確に認識していなかったことについては、雑木や看板等により同踏切道の一時停止位置から列車の接近が確認しがたかったことが影響した可能性があると考えられる。
再発防止策 本事故後、同社は平成27年9月5日に鍵谷第1踏切道の線路脇の草木の伐採、踏切通行注意看板の撤去、踏切幅員の明示線及び踏切注意柵の再塗色を実施した。さらに、同社の広島支社主管部署は、施設関係現場長会議において‘踏切通行者の目線を意識した見通し確保の必要性’について指導を行い、同支社管内の第4種踏切について必要と認められた28箇所の草木の伐採を実施した。