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運輸安全委員会事故調査報告書【H28年2月25日公表】

投稿日時:2016-02-25 00:00:58 (1094ヒット)

【鉄道事故:1件】

番号 事業者、事故種類、発生日時・場所 事故概要 原   因
○日本貨物旅鉄道株式会社
○列車衝突事故
○H27.2.17(火)23時14分ごろ
○北海道札幌市
○函館線
札幌貨物ターミナル駅構内
入51入換機関車(機関車1両)は、札幌貨物ターミナル駅構内において、操車担当者の入換合図により白石通路線から操2番線厚別駅方まで運転中、同線厚別駅方の車両停止標識を行き過ぎ、隣接線を支障して停止した。
一方、釧路貨物駅発札幌貨物ターミナル駅行き16両編成(機関車1両及び貨車15両)の高速貨第2092列車は、新札幌駅を定刻(23時09分)に通過後、札幌貨物ターミナル駅構内に進入し、操1番線に到着する予定で、速度約33km/hで入換機関車の横を通過したところ、列車の運転士は接触音を認めたため、直ちに非常ブレーキを使用し、列車は約50m走行して停止した。
停止後、運転士が列車から降りて確認したところ、列車の1両目(車両は機関車を含めて前から数え、前後左右は列車の進行方向を基準とする。)の側面が、操2番線の入換機関車と衝突していた。
列車には運転士1名、入換機関車には運転士1名が乗車していたが、負傷者はいなかった。
本事故は、札幌貨物ターミナル駅構内において、入換機関車が隣接線を支障して停止していたため、これに、隣接線を走行してきた高速貨物列車の機関車の側面が衝突したことにより発生したものと推定される。
入換機関車が隣接線を支障して停止したことについては、所定の停止位置に接近していることに操車担当者が気付かず、入換合図「停止せよ」の表示が遅れた可能性があると考えられ、このため、入換機関車の運転士のブレーキ操作が遅れたことによる可能性があると考えられる。入換機関車が停止位置に接近していることに操車担当者が気付かなかったことについては、作業手順を考えながら誘導を行ったことによる可能性があると考えられる。
また、入換機関車の運転士は、聞き間違いにより入換えの区間(誘導区間)の終端が変更されたと思い込み、所定の停止位置に一旦停止せずに入換えを行おうとしたことが、ブレーキ操作に影響を与えた可能性があると考えられる。
このことについては、同駅の関係係員が「1作業1通告」を規定する同社の駅運転取扱作業マニュアルを正しく理解していないことが関与した可能性があると考えられる。
また、入換機関車が隣接線を支障して停止した状態で列車の接近を認めた際に、関係者の誰もが緊急停止手配等の措置を採らなかったことが事故の発生に関与した可能性があると考えられる。
再発防止策 本事故は、札幌貨物ターミナル駅構内の入換作業において、関係係員が同社の作業要領、マニュアルを正しく理解していないことが関与した可能性があると考えられることから、同社及び同社北海道支社は、各現場における作業の実態を把握し、適切に作業が行われるように取り組むとともに、必要に応じて関係マニュアル等を見直しすることが必要である。
また、異常時において、列車防護、緊急停止手配を最優先させるという意識を身に付けさせるため、訓練及び教育について再考することが望まれる。

参考資料(JR貨物・函館線)