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運輸安全委員会事故調査報告書【H24年2月24日公表】

投稿日時:2012-02-24 00:00:38 (4475ヒット)
番号 事業者、インシデント種類、発生日時・場所 重大事故概要 原因
1 ○東日本旅客鉄道(株)
○踏切障害事故
○H23.2.1(火)12:12ごろ
○新潟県中魚沼郡津南町
飯山線
森宮野原駅~足滝駅間(単線)
大根原踏切道(第1種踏切道)
豊野駅起点51k215m付近
東日本旅客鉄道株式会社の信越線長野駅発飯山線十日町駅行き1両編成の下り普通第131D列車は、平成23年2月1日(火)、森宮野原駅を定刻(12時00分)より約10分遅れて出発した。
列車の運転士は、速度約60㎞/hで惰行運転中、前方の大根原踏切道内に左側から進入した小型貨物自動車(ライトバン)を認めたため、直ちに非常ブレーキを使用するとともに気笛を吹鳴したが間に合わず、列車は同自動車と衝突し、同踏切道から約75m行き過ぎて停止した。
列車には、乗客7名、運転士1名及び保線係員2名が乗車していたが、死傷者はなかった。同自動車には運転者のみが乗車しており、運転者は死亡した。
なお、列車は、下部覆い板等が損傷したが、脱線はしなかった。同自動車は大破したが、火災の発生はなかった。
   死亡者1名(自動車運転者)
本事故は、故障したことにより遮断かんが降下した状態となっていた本件踏切に本件自動車を通行させようとした際に、列車在線状況の確認がされないまま、遮断かんが上げられたため、本件自動車が本件踏切に進入し、これと本件列車が衝突したことにより発生したものと推定される。
本件踏切おいて列車在線状況の確認が行われなかったことについては、踏切監視員の役割をしていた電気係の一方が上り下りの列車間隔が10分以上あり本件列車がすぐに通過することはないと思い込み、他方が他の電気係の作業工程の指示から本件列車の通過時刻を12時30分ごろと思い込んだことによるものと考えられる。
また、遮断かんが上げられたことについては、本件自動車を早く通してあげたいとの考えが関与した可能性があると考えられる。
  所見あり

東日本旅客鉄道(株) 飯山線 森宮野原駅~足滝駅間 踏切障害事故における所見

本事故は、鉄道事業者はもとより通行者にとっても重要であり、かつ、横断等にあたっては最も注意を要する施設である踏切において、発生したものである。 同社は、以下の考え方を踏まえて同種の事故の再発防止対策等を進めていく必要がある。

  1. 安全意識は、日頃からの教育及び実際の現場での作業等により身に付くものであるため、保守等に従事する係員の教育や訓練及び定例会議等にて安全確保のための基本動作を繰り返し徹底させ、また、ときには訓練設備の利用及び実地訓練を行うなどして、十分にその動作を定着させる必要がある。
    その際には、踏切監視を行う担当者同士が、列車在線状況の確認を行ったことを相互に確認し合うなどお互いにヒューマンエラーの発生を防止し合えるような仕組みについても検討するべきである。
  2. 踏切は、故障発生時の速やかな対応が必要である保安装置であるため、係員が現場に到着するまでの所要時間を短縮し、故障の早期復旧を図ることなどにより、通行者への迷惑を減らす方策などについて検討することが望ましい。

※所見とは…

法律の規定はなく、原因関係者等がとるべき措置や一般的な努力目標等について述べるものであり、措置義務はない。」