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運輸安全委員会事故調査報告書【H27年11月26日公表】

投稿日時:2015-11-26 00:00:43 (1169ヒット)

【鉄道事故:1件】

番号 事業者、事故種類、発生日時・場所 事故概要 原   因
○いすみ鉄道株式会社
○列車脱線事故
○H25.12.28(土)13時43分ごろ
○千葉県夷隅郡大多喜町
いすみ線 西畑駅~上総中野駅間(単線)
大原駅起点 25k800.4m付近
大原駅発上総中野駅行き1両編成の普通列車の運転士は、ワンマン運転で西畑駅~上総中野駅間の庄司(しょうじ)川橋りょうの半径250mの右曲線を速度約34km/hで運転中、衝撃を感じたため、非常ブレーキを使用して列車を停止させた。
停車後に確認したところ、前台車前軸が左へ脱線していた。
列車には、乗客4名及び運転士1名が乗車していたが、死傷者はいなかった。
本事故は、以下の経過により発生した可能性があると考えられる。
(1) 曲線半径250mの右円曲線を通過中に、まくらぎの腐食やひび割れによりレールとまくらぎを締結する犬くぎの支持力が低下した可能性のある箇所において、列車の走行により軌間変位の拡大が発生したため、右車輪が軌間内に脱線して、内軌頭部側面に接触し軌間を広げながら走行した。 なお、軌間内への脱線には、軌間変位が整備基準値を超えていたことも関与した。
(2) その後、左車輪は通常と異なる横圧を受けながら、庄司川橋りょう上で、 局所的に、軌道が高くなり同時に曲線半径が小さくなっていた箇所付近で、外軌に乗り上がり外側(左側)へ脱線した。
なお、左車輪の脱線とともに右車輪が内軌頭部側面からまくらぎ上に落下した可能性があると考えられる。
再発防止策 1. まくらぎ検査において、健全ではないものの直ちに交換を要しないと判断されたまくらぎの犬くぎの支持力低下が本事故につながった可能性があると考えられる。したがって、同社は、まくらぎの検査においては、まくらぎの状態等を詳細に確認し、安全上支障があるものについては速やかに交換を行い、交換時機を逸しないようにする必要がある。
2. 軌間変位が定期検査で整備基準値を超えて軌間が広がっていたほか、他の軌道変位でも整備基準値を超えていたものがあったにもかかわらず保守が行われなかった。これらが本事故につながった可能性があると考えられる。したがって、定期検査の測定の結果、整備基準値を超えたものについては、速やかに整備を行う必要がある。
3. 本線の線路総合巡視については、土木施設実施基準に定められた期間を超えていた。同巡視は、線路の状態を確認する重要な巡視であることから、悪天候時などを除き土木施設実施基準に定めた期間どおりに実施することが必要である。
4. まくらぎについては、木製よりも耐久性、保守の容易性からコンクリート製に置き換えていくことが望まれる。

参考資料(いすみ鉄道・いすみ線)