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運輸安全委員会事故調査報告書【H24年7月27日公表】

投稿日時:2012-07-27 00:00:45 (1076ヒット)

【鉄道事故の経過報告:1件】

番号 事業者、事故種類、発生日時・場所 事故概要 原因
1 ○北海道旅客鉄道(株)
○列車脱線事故
○H23.5.27(金)21:55ごろ
○北海道勇払郡占冠村
石勝線清風山信号場構内
本事故は、今後、一層の事実調査及び分析を進めるため、最終的に報告書を取りまとめるまでに、なお時間を要すると見込まれることから、本事故の概要及び本事故調査の経過を報告し、公表するものである。
  ○事故概要
北海道旅客鉄道株式会社の釧路駅発札幌駅行き6両編成の上り特急気第4014D列車(スーパーおおぞら14号)は、平成23年5月27日(金)、トマム駅を定刻(21時36分)より約2分遅れて出発した。
列車が清風山信号場付近を走行中、車掌は4両目の車掌室で異音を聞くとともに振動を感じて運転士に連絡し、運転士はそれを受けて直ちに停止手配を取った。列車は同信号場内の第1ニニウトンネル内に停止し、その後、列車から発生した火災により白煙が列車内に流入した。
運転士は、トンネル内に停止した列車をトンネル外へ移動させようとしたが、列車は起動しなかった。
列車の乗客248名、運転士1名、車掌1名及び客室乗務員2名は、歩いてトンネル外に避難した。また、このうち、乗客78名及び車掌が負傷した。
列車は、5両目後台車第1軸が左に脱線して停止していたほか、6両全てが焼損した。
負傷79名
◎本案件は、経過報告のため、原因に関する記載はない。
  ○現時点までの主な調査事項
 (1) 関係者からの口述聴取
 (2) 鉄道施設の損傷状況に関する調査
 (3) 車両の損傷状況に関する調査
 (4) 動力伝達装置の破損に関する調査
 (5) 火災による施設及び車両の焼損状況に関する調査
 (6) 避難誘導及び救護に関する調査
  ○脱線の過程について
本事故は、減速機を減速機支え装置に保持している減速機吊りピンが脱落した結果、減速機が垂下し、それが軌道と激しくぶつかって脱線に至ったものであると考えられる。
また、列車の停止時には、5両目の後台車第1軸が脱線していたが、脱線は、次に示すように2度発生していたものと考えられる。
(1)最初の脱線
 列車が事故現場付近の12ロ分岐器を通過する際、垂下した減速機がポイント部のレールにぶつかって、4両目の後台車の1軸が脱線し、その後、同台車のもう一方の軸が脱線した。脱線した2軸は、11イ分岐器付近で復線した。
(2)2度目の脱線
本件列車の停止直前に、垂下した減速機のカサ歯車が脱落して5両目後台車に衝突し、同台車第1軸が脱線した。
現在、減速機吊りピンが脱落した原因については調査中であるが、類似の構造を用いている車両において、同種の事故の再発を防止するためには、減速機吊りピンの脱落に係る不具合が生じないよう、当該箇所の状態をより適切に管理することが望まれる。
  ○今後の調査事項
これまでに実施した調査事項について深度化を図るほか、引き続き次の事項について事実調査及び分析を進める。
(1)動力伝達装置の垂下原因
(2)火災の発生プロセス
(3)避難誘導
(4)その他