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運輸安全委員会事故調査報告書【H27年10月29日公表】

投稿日時:2015-10-29 00:00:38 (1069ヒット)

【鉄道重大インシデント:1件】

番号 事業者、インシデント種類、発生日時・場所 事故概要 原   因
○東日本旅客鉄道株式会社
○車両障害(鉄道事故等報告規則第4条第1項第8号の「車両の走行装置、ブレーキ装置、電気装置、連結装置、運転保安設備等に列車の運転の安全に支障を及ぼす故障、損傷、破壊等が生じた事態」に係る鉄道重大インシデント)
○H26.9.26(金)7時23分ごろ
○新潟県東蒲原郡阿賀町
○磐越西線 五十島駅~東下条駅間 大長谷トンネル内
会津若松駅発新潟駅行き5両編成の下り普通列車は、五十島駅を定刻より約2分遅れて出発し、隣駅の東下条駅へ向かった。速度約72㎞/hから惰行運転で大長谷トンネルを走行中、前から2両目右側(車両は前から数え、前後左右は列車の進行方向を基準とする。)の旅客用乗降ドアが開いたことを乗り合わせていた同社の社員が認め、その旨を運転士に伝えた。連絡を受けた運転士は、運転士知らせ灯の滅灯を確認し直ちに非常ブレーキを扱い列車を停止させた。
列車には、乗客約140名、運転士1名及び車掌2名が乗車していたが、転落等による負傷者はいなかった。
(1) 先頭車両において客室の換気扇の抵抗器基板が換気扇本体のフレームと接触し絶縁不良を起こしたこと、
(2) 2両目車両において右側のワンマン戸ジメスイッチ回路のドア開き指令の電線の被覆が損傷して芯線が露出し、車体に取り付けられている防熱板の金属部と接触し絶縁不良を起こしたこと
という2件の事象が同時に発生したため、先頭車両の電源電圧(直流24V)が先頭車両と2両目の車体を経由して2両目のワンマン戸ジメスイッチ回路に印加されたことにより、2両目車両の右側ドア2箇所が開いたものと考えられる。
抵抗器基板と換気扇本体のフレームの接触は、車体の振動等により基板とフレームとの間の間隔がなくなったことによる可能性があると考えられる。
また、右側のドア開き指令の電線の被覆が損傷して芯線が露出していたことについては、電線を車両床下に引き回す際に、走行時の車両の動揺及び振動に対する設計及び施工上の配慮が十分ではなく、電線ダクトの継ぎ目部分の隙間で配線の束と防熱板が擦れたことにより、耐熱クロスで覆われた電線の被覆が損傷したためと考えられる。

参考資料(JR東・磐越西線)