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運輸安全委員会事故調査報告書【H24年6月29日公表】

投稿日時:2012-06-29 00:00:49 (1177ヒット)

【鉄道事故:3件】

番号 事業者、事故種類、発生日時・場所 事故概要 原因
1 ○日本貨物鉄道(株)
○列車脱線事故
○H23.3.11(金)14:48ごろ
○宮城県仙台市
東北線長町駅構内
日本貨物鉄道株式会社の北旭川駅発隅田川駅行き21両編成の上り高速貨第3052列車は、平成23年3月11日、宮城野駅を定刻に出発した。
列車の運転士は、速度約45km/hで長町駅を通過中、防護無線及び緊急停止の無線を受けると同時に揺れを感じたので常用ブレーキを使用して列車を停止させた。
その後、指令の指示で列車の状態を点検したところ14両目の貨車の前台車第2軸が右へ脱線していた。
列車には運転士1名が乗務していたが、負傷はなかった。
本事故は、運転士が防護無線及び緊急停止の無線を受けると同時に揺れを感じて長町駅構内に列車を停止させた直後に、左右方向の水平方向成分を含む大きい地震動を受けたため、14両目の貨車が左右に大きく動揺し、車両の揺れと曲線部のカントの影響により前台車第2軸内軌側車輪が内軌に乗り上がり、第2軸が右に脱線したことにより発生したものと考えられる。
2 ○東日本旅客鉄道(株)
○列車脱線事故
○H23.7.14(木)9:46ごろ
○福島県耶麻郡西会津町
磐越西線徳沢駅構内
東日本旅客鉄道株式会社の新潟駅発会津若松駅行き3両編成の上り普通第3222D列車は平成23年7月14日、鹿瀬駅を定刻に出発した。
列車の運転士は徳沢駅構内の西川トンネル内を速度約35km/hで惰行運転中、 トンネル出口から前方約27mのレール間に岩塊を認めたため、直ちに非常ブレーキを使用したが間に合わず、岩塊に乗り上げて1両目の前台車全軸が右側へ、後台車全軸が左側へ脱線した。
列車には乗客12名及び乗務員2名(運転士及び車掌)が乗車していたが、負傷者はいなかった。
本事故は、見通しの悪い区間で、斜面から線路上に落下していた岩塊に気付いた運転士が非常ブレーキを使用したが間に合わず、列車が岩塊と衝突して1両目の車両が脱線したために発生したものと推定される。
斜面から岩塊が落下したことについては、斜面に露出していたと推定される岩塊の周辺土砂がある程度の期間を通して、降雨時などの表層の浸食により徐々に流出した結果、岩塊が安定性を失ったことが原因と考えられる。
3 ○日本貨物鉄道(株)
○列車脱線事故
○H23.3.10(木)12:22ごろ
○千葉県成田市
成田線久住駅~滑河駅間(単線)
成田駅起点9k557m付近
日本貨物鉄道株式会社の東京貨物ターミナル駅発鹿島サッカースタジアム駅行き10両編成の下り高速貨第73列車の運転士は、滑河駅構内に惰行運転で進入したところ、列車の非常ブレーキが動作し同駅構内に停止した。停止後に非常ブレーキが緩解しなかったことから輸送指令の指示により列車の点検をしたところ、列車は8両目の貨車と9両目の貨車が分離しており、9両目の貨車は右に脱線横転し、10両目の貨車は右に脱線していた。
また、まくらぎ等に列車が同駅に進入する前から脱線し走行していた痕跡があった。
列車には運転士1名が乗務していたが、負傷はなかった。
本事故は、本件列車が半径406mの左曲線を走行した際、最初に9両目貨車の後台車第1軸の外軌(右)側車輪が輪重の減少によりレールに乗り上がって右に脱線し、その後、第2軸も外軌(右)レールに乗り上がって脱線したことにより発生したものと考えられる。
脱線した貨車は、貨車整備実施基準に定められた基準に沿って検査整備されており、さらに規定された運行速度以下で運行されていた。
しかし、新製時から使用されていた軸ばねは、経年劣化により硬くなっていたことから、空コンテナを積載した状態では新製時よりも軌道に対する追従性が低下していた可能性があると考えられる。
また、脱線発生箇所付近については、検査が実施されており、整備基準値内であったものの、脱線発生箇所付近の平面性変位と複合変位が比較的大きかった。
また、脱線箇所付近の軌道変位の変動と相まって、車両動揺が発生した可能性が考えられ、後台車第1軸の外軌(右)側の輪重、横圧が大きく変動して脱線箇所付近で脱線係数が大きくなった可能性が考えられる。