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運輸安全委員会事故調査報告書【H25年9月27日公表】

投稿日時:2013-09-27 00:00:59 (1373ヒット)

【鉄道事故:3件】

番号 事業者、事故種類、発生日時・場所 事故概要 原因
1 ○岡山電気軌道株式会社
○車両脱線事故(道路障害に伴うもの)
○H24.6.11(月)8:10ごろ
○岡山県岡山市 東山本線 県庁通り停留場~西大寺町(さいだいじちょう)停留場間 岡山駅前停留場起点1k743m付近
岡山電気軌道株式会社の岡山駅前停留場発東山停留場行き1両編成の第9201号電車は、平成24年6月11日、岡山駅前停留場を7時58分ごろ出発した。電車の運転士は県庁通り停留場から西大寺町停留場に向け速度約30km/hで惰行運転中、前方の交差点において対向車線から右折のため軌道敷内に進入してくる普通乗用自動車を交差点の手前約10mの地点で認めた。運転士は直ちに非常ブレーキを使用したが、電車は普通乗用自動車と衝突し、交差点を約20m行き過ぎて、脱線して停止した。また、普通乗用自動車は電柱に衝突して停止した
電車には乗客71名及び乗務員1名が乗車しており、このうち乗客8名が負傷した。また、普通乗用自動車には1名乗車していたが、負傷はなかった。
本事故は、第9201号電車が接近中の交差点において、自動車が右折しようとして交差点内の軌道敷に進入したものの通過できず、電車の進行を妨げる結果となったため、自動車の右折を認めて電車の運転士が直ちに非常ブレーキを使用したものの間に合わず、電車と自動車が衝突したことにより発生したものと考えられる。
自動車が電車の進行を妨げる結果となったことについては、自動車の運転者が進行方向となる交差道路で自動車が滞留していることを確認せず、また、電車の動きに十分な注意を払わずに交差点に進入したことによる可能性があるものと考えられる。
2 ○土佐電気鉄道株式会社
○車両脱線事故(道路障害に伴うもの)
○H24.9.15(土)22:25ごろ
○高知県高知市
後免(ごめん)線 長崎停留場~小篭通(こごめどおり)停留場間
はりまや橋停留場起点8k250m付近
土佐電気鉄道株式会社の鏡川橋停留場発後免町停留場行き1両編成の第629号電車は、平成24年9月15日、ワンマン運転で長崎停留場を22時24分ごろ通過した。電車の運転手は、国道195号線と並行する線路を速度約30km/hで力行(りっこう)運転中、長崎停留場~小篭通停留場間にある国道195号線と国道32号線との交差点に、国道32号線上を左側から進入してきた普通貨物自動車(大型トレーラー)を認めたため、直ちに気笛を吹鳴するとともに非常ブレーキを使用したが衝突し、電車は右へ脱線して停車した。
電車には、乗客10名及び運転手1名が乗車しており、このうち乗客4名及び運転手1名が負傷した。普通貨物自動車には運転者1名が乗車しており、運転者は負傷した。
電車は、車両の前面及び客室の窓ガラス等が損傷し、普通貨物自動車は車体の前面から右側面付近が損傷した。なお、普通貨物自動車に火災の発生はなかった。
本事故は、併用軌道区間である交差点において、電車の運転手が軌道信号機の進行信号現示を確認して電車を進入させたにもかかわらず、電車の左側から交差点に進入してきた普通貨物自動車に衝突し、前台車の全2軸が右へ脱線したものと考えられる。
なお、普通貨物自動車が交差点の交通信号機の表示に従わず交差点に進入した理由については、明らかにすることができなかった。
3 ○京浜急行電鉄株式会社
○列車脱線事故
○H24.9.24(月)23:59ごろ
○神奈川県横須賀市
本線 追浜(おっぱま)駅~京急田浦(たうら)駅間
品川駅起点43k890m付近
京浜急行電鉄株式会社の京成高砂(たかさご)駅発三浦海岸駅行き8両編成の第2268H列車は、平成24年9月24日、追浜駅を定刻(23時56分)より約1分遅れて出発した。運転士は、列車が速度約72km/hで惰行運転中、前方約30~40mの線路内に土砂等が堆積しているのを認めたため、非常ブレーキを使用したが間に合わず、列車は土砂等に乗り上げ、約84m走行して停止し、1両目全4軸、2両目前台車全2軸及び3両目前台車全2軸が右に脱線した。停止した際、1両目から4両目中間付近までは船越第1隧道内であった。
列車には乗客約700名、乗務員2名が乗車しており、このうち乗客55名及び運転士が負傷した。
本事故は、本件列車が斜面表層の崩壊により線路内に堆積していたコンクリート基礎1個を含む土砂等に乗り上がったため、脱線したことにより発生したものと推定される。このとき、コンクリート基礎に1両目の前台車が乗り上がったことが、被害の拡大につながったものと推定される。
斜面崩壊が発生したことについては、脆弱化していた可能性があると考えられる本件斜面の表層部及び基盤層の表面部分に、多量の雨水が集中し、表層部の地下水位が上昇したことによる可能性があると考えられる。
斜面に設置されていた鋼製柵のコンクリート基礎が落下した原因については、同社に鋼製柵の設置経緯や構造図の記録が残っていなかったため不明であるが、設置当時の想定以上の土砂が流出したことのほかに、コンクリート基礎の性能が設置当時より低下していたことによる可能性があると考えられる。