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運輸安全委員会事故調査報告書【H24年8月31日公表】

投稿日時:2012-08-31 00:00:40 (1186ヒット)

【鉄道事故:3件】

番号 事業者、事故種類、発生日時・場所 事故概要 原因
1 ○秩父鉄道株式会社
○列車脱線事故(踏切障害に伴うもの)
○H23.11.1(火)11:14ごろ
○秩父本線樋口駅~野上駅間(単線)樋口No.3踏切道(第1種踏切道)熊谷駅起点28k132m付近
○事故概要
秩父鉄道株式会社の秩父本線三峰口駅発羽生駅行き3両編成の上り普通第1528列車は、平成23年11月1日、ワンマン運転で野上駅を定刻(11時12分)より1分遅れで出発した。
列車の運転士は、速度約78km/hで惰行運転中、11時14分ごろ、樋口No.3踏切道上で停止している大型のダンプを同踏切の約200m手前で発見し、気笛を吹鳴するとともに非常ブレーキを使用したが間に合わず、列車は同ダンプと衝突した。列車は、1両目の車両の全4軸が脱線し、同踏切から約30m行き過ぎて停止した。
列車には、乗客約40名及び運転士が乗車しており、乗客4名及び運転士が負傷した。また、同ダンプの運転者は降車していたため負傷しなかった。
負傷5名
本事故は、大型のダンプが踏切を通過中にアクセルを踏んでも前へ進まなくなり停止していたところを列車の運転士が発見し、非常ブレーキを使用したが間に合わず、列車が同ダンプと衝突したことにより、1両目の前台車全2軸が右へ、後台車全2軸が左へ脱線したものであると考えられる。
2 ○日本貨物鉄道株式会社
○列車脱線事故
○H23.12.27(火)21:51ごろ
○岐阜県岐阜市
○東海道線岐阜貨物ターミナル駅構内
日本貨物鉄道株式会社の名古屋貨物ターミナル駅発福岡貨物ターミナル駅行き27両編成の高速貨第1065列車は、平成23年12月27日、岐阜貨物ターミナル駅着発1番線を21時51分に出発した。
列車の運転士は、力行ノッチを投入したまま、ポイントを速度約35km/hで通過後、運転台に故障表示灯が点灯すると同時に非常ブレーキが作動するのを認めた。
岐阜貨物ターミナル駅の当務駅長は駅舎屋内にて、大きな音が聞こえたため外を確認すると、高速貨第1065列車が土煙を上げながら走行していることを認めた。
当務駅長は、直ちに信号一斉停止扱いを行い、輸送指令に脱線したことを報告し、列車防護手配を要請した。
列車の運転士は、停止後、輸送指令から列車が脱線した旨の連絡を受け、降車して確認すると、12両目貨車と13両目貨車の間で列車が分離しており、12両目貨車の後台車全2軸と13両目貨車の前台車全2軸が脱線しているのを認めた。
列車には、運転士1名が乗務していたが、死傷はなかった。
本事故は、貨物列車が岐阜貨物ターミナル駅を出発する以前から、12両目貨車の後台車第1軸の左車輪のフランジ先端が左レール頭頂面に載った状態で、同台車が左斜めに向いた状態となっていたため、同列車が出発した直後に同台車が左斜め方向に進行し、同軸が左側へ脱線したことにより発生したものと考えられる。
12両目貨車の後台車第1軸の左車輪のフランジ先端が左レール頭頂面に載った状態になっていたのは、駅到着後の荷役作業において、同台車に近い位置のコンテナを取卸する際に、緊締装置とコンテナアンカが何らかの理由により一時的に分離されず、コンテナと共に車体及び台車が持ち上げられ、台車を介して車軸が持ち上げられた可能性があると考えられる。緊締装置とコンテナアンカが一時的に分離されなかった理由については、明らかにすることができなかった。
3 ○長崎電気軌道株式会社
○道路障害事故
○H24.2.4(土)20:55ごろ
○長崎県長崎市
○大浦支線大浦海岸通り停留場~市民病院前停留場間入江町分岐起点0k476m付近
長崎電気軌道株式会社の石橋停留場発蛍茶屋停留場行き1両編成の第302号車は、平成24年2月4日、大浦海岸通り停留場を20時55分ごろ出発した。
運転士は速度約33km/hで力行運転中、大浦海岸通り停留場~市民病院前停留場間にある交差点の進行方向左側(前後左右は進行方向を基準とする。)の軌道敷内に、車体後部右側を残して停車している小型乗用自動車を認めたため、警笛を吹鳴するとともに非常ブレーキを使用したが衝突し、衝突位置から約16.7m行き過ぎて停止した。
この衝突により小型乗用自動車は押し出され、前に停車中の小型乗用自動車に衝突した。
第302号車には、乗客約35名及び運転士1名が乗車しており、このうち乗客5名が負傷した。
電車と衝突した小型乗用自動車には2名、前の小型乗用自動車には3名乗車しており、5名全員が負傷した。
なお、第302号車は前部左側下部が損傷し、2台の小型乗用自動車も損傷した。
負傷10名
本事故は、小型乗用自動車が車体後部を軌道敷内に残した状態で停車していたため、同自動車を認めた電車の運転士が非常ブレーキを使用したものの、同自動車の手前に止まり切れずに衝突したことにより発生したものと考えられる。
同自動車が車体後部を軌道敷内に残した状態で停車していたのは、同自動車が国道499号線に進入したものの、車線が渋滞していたため前に進めず、車体後部を軌道敷外に出すことができなかったことによるものと考えられる。
同電車が同自動車に衝突したのは、同電車の運転士が同自動車を認めた位置が、衝突位置の約21m手前であったため、同電車の減速度では手前に停止できなかったことによるものと考えられる。