一般社団法人 日本鉄道電気技術協会

お知らせ

TOP > お知らせ > 運輸安全委員会事故調査報告書【H28年12月15日公表】

運輸安全委員会事故調査報告書【H28年12月15日公表】

投稿日時:2016-12-15 00:00:14 (1327ヒット)

【鉄道事故:3件】

番号 事業者、事故種類、発生日時・場所 事故概要 原   因
○四国旅客鉄道株式会社
○列車脱線事故
○H27.12.31(木)12時02分ごろ
○香川県さぬき市
 高徳線 オレンジタウン駅構内(単線)
高徳線徳島駅発高松駅行き1両編成の上り普通第4332D列車は、ワンマン運転でオレンジタウン駅に定刻(12時00分45秒)から遅れて到着した。
列車の運転士は、オレンジタウン駅到着後に乗降扉を開け、乗降を待つうちに出発時刻(12時01分30秒)に気付き、列車を出発させた。
オレンジタウン駅構内を速度約33km/hで力行中、列車のATSの警報とともに非常ブレーキが動作したことから、運転士は信号の現示を確認していないことに気付き、直ちにブレーキハンドルを非常位置とした。列車はブレーキがかかり減速したが、オレンジタウン駅の本線から安全側線に入り、車止めとなる砂利盛りに進入し、前台車第1軸が砂利盛り内のレール終端から脱線した。
対向の下り列車は、上り列車が車止めに進入し、安全側線緊急防護装置が動作したため、場内信号機が停止信号となり、同信号機付近に緊急停車した。
列車には、乗客45名及び運転士1名が乗車しており、乗客1名が負傷した。
本事故は、オレンジタウン駅の出発信号機に停止信号が現示されているにもかかわらず運転士が列車を出発させたことから、自動列車停止装置(ATS)により列車の非常ブレーキが動作したが、同列車は安全側線に入り、砂利盛り内のレール終端から脱線したものと推定される。
出発信号機に停止信号が現示されているにもかかわらず運転士が列車を出発させたことについては、出発信号機を確認すべきタイミングで他の動作をしたため、運転取扱い作業に対する意識が希薄となったことによりノッチ投入前の出発信号機の確認が抜け落ち、さらに、考えごとをしながら出発時の運転取扱い作業を無意識に行ったことにより、ノッチ投入後の出発信号機の確認を失念したものと考えられる。
再発防止策 本事故において、運転士が停止信号にもかかわらず列車を出発させたのは、出発信号機を確認すべきタイミングで他の動作をし、運転取扱い作業を無意識に行ったことにより、ノッチ投入前後の出発信号機の確認を失念したことが主たる要因と考えられる。
また、同社において過去に信号冒進があり、その対策として、事故の重大性を認識させるとともに基本動作の重要性を意識させるため、戸ジメ表示灯の下に「出発確認」の表示により注意喚起をしているが、こうした取組が形骸化している可能性があるなど、過去に講じた対策が有効に機能していなかったものと考えられる。
このことから、同社は、運転士に対して信号冒進等の事象の再発防止を図るため、運転士の基本動作で最も重要な信号の確認を確実に励行できるように、乗務員訓練及び指導方法について方策を検討すること。

参考資料1(JR四国・高徳線)

番号 事業者、事故種類、発生日時・場所 事故概要 原   因
2 ○樽見鉄道株式会社
○踏切障害事故
○H28.6.10(金)11時09分ごろ
○岐阜県本巣市
○樽見線糸貫駅~本巣駅間(単線)
本巣南踏切道(第3種踏切道:遮断機なし、警報機あり)
大垣駅起点15k885m付近
樽見線大垣駅発樽見駅行きの下り17列車の運転士は、糸貫駅~本巣駅間を走行中、本巣南踏切道(第3種踏切道)に進入してきた軽自動車を発見し、直ちに非常ブレーキを使用したが、列車は同軽自動車と衝突した。
この事故により、軽自動車の運転者1名が死亡した。
本事故は、第3種踏切道である本巣南踏切道に、列車の接近により踏切警報機が動作している状況において、軽自動車が踏切道内へ進入したため、列車と衝突したことにより発生したものと考えられる。
列車の接近により踏切警報機が動作している状況において、軽自動車が踏切道内へ進入した理由については、本件踏切の踏切警報機により列車の接近を認識できる状況であったと考えられるが、軽自動車運転者が死亡していることから、詳細を明らかにすることはできなかった。
再発防止のために望まれる事項 本件踏切は、踏切警報機を備えた第3種踏切道であるが、本事故を含めて踏切障害事故が3件発生しており、うち2件は死亡事故に至っていることから、通行者に対する抑止力の向上を図るため、関係者が連携して踏切警報機に追加して踏切遮断機を設けるなど、現状より安全性を向上させることが望まれる。 

参考資料2(樽見鉄道・樽見線)

番号 事業者、事故種類、発生日時・場所 事故概要 原   因
3 ○東日本旅客鉄道株式会社
○踏切障害事故
○H28.7.29(金)16時25分ごろ
○群馬県みどり市
両毛線 国定駅~岩宿駅間(単線)
間野谷百頭踏切道(第4種踏切道:遮断機及び警報機なし)
小山駅起点59k873m付近
高崎駅発小山駅行きの下り普通第463M列車の運転士は、国定駅~岩宿駅間を走行中、間野谷百頭踏切道(第4種踏切道)に進入してくる自転車に乗った通行者を認め、直ちに非常ブレーキを使用したが、列車は同自転車と衝突した。
この事故により、同通行者1名が死亡した。
本事故は、列車が第4種踏切道である間野谷百頭踏切道に接近している状況において、自転車に乗っている通行者が同踏切道内に進入したため、列車と衝突したことにより発生したものと推定される。
列車が同踏切道に接近している状況において、自転車に乗った通行者が踏切道内に進入した理由については、列車の接近に気付かずに踏切道内に進入した可能性があると考えられるが、通行者が死亡しているため詳細を明らかにすることはできなかった。
事故後に講じられた措置 本件踏切は、踏切警報機を備えた第3種踏切道であるが、本事故を含めて踏切障害事故が3件発生しており、うち2件は死亡事故に至っていることから、通行者に対する抑止力の向上を図るため、関係者が連携して踏切警報機に追加して踏切遮断機を設けるなど、現状より安全性を向上させることが望まれる。

参考資料3(JR東日本・両毛線)