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運輸安全委員会事故調査報告書【H29年7月27日公表】

投稿日時:2017-07-27 00:00:47 (1250ヒット)

【鉄道事故:4件】

番号 事業者、事故種類、発生日時・場所 事故概要 原   因
○東日本旅客鉄道株式会社
○踏切障害事故
○H28.11.6(日)11時38分ごろ
○宮城県遠田郡美里町
 陸羽東線 小牛田駅~北浦駅間(単線)
八丁ノ目踏切道(第4種踏切道:遮断機及び警報機なし)
小牛田駅起点1k782m付近
小牛田駅発鳴子温泉駅行きの下り普通第8731D列車の運転士は、小牛田駅~北浦駅間を走行中、八丁ノ目踏切道(第4種踏切道)に進入してきた軽貨物自動車を認め、直ちに気笛を吹鳴するとともに非常ブレーキを使用したが、列車は同軽貨物自動車と衝突した。
この事故により、同軽貨物自動車の運転者が死亡した。  
本事故は、踏切遮断機及び踏切警報機が設けられていない第4種踏切道である八丁ノ目踏切道に列車が接近している状況において、軽貨物自動車が同踏切道内に進入したため、列車と衝突したことにより発生したものと推定される。
列車が接近している状況において、同軽貨物自動車が同踏切道内へ進入したことについては、同軽貨物自動車の運転者が列車の接近する方向とは反対方向に視線を向けていたことが関与した可能性があると考えられるが、同軽貨物自動車の運転者が死亡していることから詳細を明らかにすることはできなかった。
参考 平成28年12月14日に、同町はバリケード、通行止め看板及びお知らせ看板により本件踏切道の閉鎖を行い、同社は本件踏切の廃止を行った。

参考資料1(JR東日本・陸羽東線)

番号 事業者、事故種類、発生日時・場所 事故概要 原   因
2 ○東日本旅客鉄道株式会社
○踏切障害事故
○H28.11.10(木)16時01分ごろ
○長野県佐久市
小海線 中込駅~太田部駅間(単線)
第2新町踏切道(第3種踏切道:遮断機なし、警報機あり)
小淵沢駅起点64k675m付近
小諸駅発小淵沢駅行きの上り試第9222D列車の運転士は、中込駅~太田部駅間を走行中、第2新町踏切道(第3種踏切道)内にいた歩行者を認め、直ちに気笛を吹鳴するとともに非常ブレーキを使用したが、列車は同歩行者と衝突した。
この事故により、同歩行者が死亡した。
本事故は、踏切警報機が設けられている第3種踏切道である第2新町踏切道に踏切警報機が作動している状況において、歩行者が踏切道内に進入したため、列車と衝突したことにより発生したものと考えられる。
踏切警報機が作動している状況において、歩行者が踏切道内に進入したことについては、両耳の聴力が低下していたことが関与した可能性があると考えられる。
また、歩行者が踏切道内に進入する際に赤色せん光灯を確認できなかった可能性があると考えられるが、歩行者が死亡していることから、詳細を明らかにすることはできなかった。
再発防止のために望まれる事項 本件踏切は踏切警報機を備えた第3種踏切道であるが、本件歩行者が本件踏切内に進入したことについては、両耳の聴力が低下していたことが関与した可能性が考えられる。本件歩行者のような踏切通行者が、列車の接近を確認する手段は、赤色せん光灯の動作の確認によるところが大きい。本件踏切の右側の停止線の位置で安全確認を行った際、赤色せん光灯の動作は、本件踏切の左側の赤色せん光灯が背面となること、また、本件踏切の右側の赤色せん光灯が踏切通行者の背後となることから、確認することができなかった。
3(4)2及び上記の状況を踏まえ、踏切通行者の安全性を向上させるためには、停止線の位置で確認することが可能となるように、赤色せん光灯を低い位置に増設することや全方位型赤色せん光灯の設置等を検討することが望まれる。なお、更なる安全性の向上のためには、踏切警報機が鳴動中に踏切内に進入することを遮断する踏切遮断機の設置についても検討することが望まれる。

参考資料2(JR東日本・小海線)

番号 事業者、事故種類、発生日時・場所 事故概要 原   因
3 ○九州旅客鉄道株式会社
○踏切障害事故
○H29.1.8(日)19時12分ごろ
○宮崎県日南市
日南線 飫肥駅~日南駅間(単線)
鉄工所踏切道(第4種踏切道:遮断機及び警報機なし)
南宮崎駅起点43k028m付近
宮崎駅発志布志駅行きの下り1951D列車の運転士は、飫肥駅~日南駅間を走行中、鉄工所踏切道(第4種踏切道)に進入してくる歩行者を認め、直ちに非常ブレーキを使用したが、列車は同歩行者と衝突した。
この事故により、同歩行者が死亡した。
本事故は、踏切遮断機及び踏切警報機が設けられていない第4種踏切道である鉄工所踏切道に列車が接近している状況において、歩行者が同踏切道内に進入したため、列車と衝突したことにより発生したものと推定される。
列車が同踏切道に接近している状況において、歩行者が踏切道内に進入したことについては、歩行者が死亡しているため詳細を明らかにすることはできなかった。
再発防止のために望まれる事項 踏切遮断機及び踏切警報機が設けられていない第4種踏切道は、できるだけ早期に統廃合又は踏切保安設備を設置すべきものである。本件踏切に関しては、廃止又は踏切保安設備を設置するための協議を、地元自治体、地域住民、鉄道事業者等の関係者間で協力して継続的に行い、安全性を向上することが望まれる。 

参考資料3(JR九州・日南線)

番号 事業者、事故種類、発生日時・場所 事故概要 原   因
4 ○西日本旅客鉄道株式会社
○列車脱線事故
○H29.1.24(火)11時31分ごろ
○岡山県総社市
伯備線 豪渓駅構内
岡山駅発備中高梁駅行きの下り電第1825M列車の運転士は、豪渓駅を定刻 (11時14分)に出発したところ、前方右側にある上り線の分岐器付近で炎が上がっていることを認めたため、所定停止位置から約15m進行した位置で列車を停止させ、車掌及び輸送指令と打合せを行い、消火活動に向かった。
消火活動を終えて、輸送指令及び車掌と打合せを行った後に、車掌の出発合図を受けて再出発したところ、その直後に非常ブレーキが動作して約7m進行した位置で再び停止した。
その後、車掌から状況の連絡を受け、降車して車両を確認したところ、3両目の前台車第2軸が右側に脱線していた。
この事故による負傷者はいなかった。
本事故は、運転士が消火活動のために列車を離れた際、車掌が列車の3両目の前台車第2軸左車輪に手歯止めを装着し、運転再開前に撤去することを失念したため、出発した列車の同車輪が手歯止めに乗り上げたことにより、3両目の前台車第2軸が右側に脱線したものと推定される。
車掌が手歯止めを装着したことについては、運転士から転動防止についての依頼を受けた際に、過去の経験から自らの職務範囲にはない手歯止めの装着に考えを至らせたこと、また、運転再開前に撤去を失念したことについては、消火活動終了後の運転士との打合せ過程において、早期の運転再開に注意が向いたことのそれぞれが関与したものと考えられる。
再発防止のために望まれる事項 (1) 同社は、鉄道係員に対して、自らの職務範囲をよく理解して忠実に行動することが鉄道輸送の安全確保につながっていること、また、異常時等に臨機の行動を求められ、判断に迷う状況となった場合には、関係係員が相互に確認してから行動することの重要性についての指導教育を再徹底することが望まれる。
(2) 同社は、関係係員が相互に連携することを要する取扱いを規定する場合においては、規定上の齟齬が生じないよう注意を払い、それぞれの役割を明確にした規定整備を行い、指導教育を行うことが望まれる。

参考資料4(JR西日本・伯備線)