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運輸安全委員会事故調査報告書【H26年6月27日公表】

投稿日時:2014-06-27 00:00:36 (1170ヒット)

【鉄道事故:1件】

番号 事業者、事故種類、発生日時・場所 事故概要 原   因
○山陽電気鉄道株式会社
○列車脱線事故(踏切障害に伴うもの)
○H25.2.12(火)15時48分ごろ
○兵庫県高砂市
○本線 伊保(いほ)駅~荒井駅間神鋼前(しんこうまえ)踏切道(第1種踏切道)
山陽明石駅起点23k030m付近
山陽電気鉄道株式会社の本線山陽姫路駅発阪神梅田駅行き6両編成の上り直通特急第9454H列車は、平成25年2月12日、大塩駅を定刻(15時44分)に出発した。
列車の運転士は、伊保駅~荒井駅間を速度約95km/hで惰行運転中、神鋼前踏切道に支障物を認めたため、直ちに気笛を吹鳴し、非常ブレーキを使用したが間に合わず、列車は、自動車運搬用の普通貨物自動車の後部及び道板に衝突した。その後、列車は、上り線路左側に建植されている電柱、隣接するブロック塀等を破壊しながら進み、荒井駅上りプラットホームに衝突して停止した。
列車は、1両目の先頭部が大破して、1両目前台車が脱落し、第1軸が線路の左へ脱線、第2軸が軌間内に脱線、1両目後台車全軸及び2両目前台車全軸が線路の右へ脱線、2両目後台車全軸は左車輪が浮き上がった状態で脱線していた。
列車には、乗客約60名、運転士1名及び車掌1名が乗車しており、運転士が重傷、乗客15名が軽傷を負った。また、普通貨物自動車の運転者及び同自動車が衝突したタクシーの運転者が軽傷を負った。
本事故は、上り直通特急列車が、神鋼前踏切道を通過する際、後部を踏切内に残していた普通貨物自動車の荷台に衝突すると同時に、上り線路を跨ぐように降ろされていた同自動車の道板に乗り上がったため、上り線路の左へ脱線したことにより発生したものと考えられる。
普通貨物自動車の後部が踏切内に残っていたことについては、同自動車の運転者が、同踏切道を渡る際、前を走行していた普通乗用車が同踏切道と前方の交差点との間の道路に停止することを想定することなく、同自動車を踏切内に進入させたことから、交差点の手前で停止した普通乗用車の後ろに同自動車が停止することになったため、同自動車の後部を踏切内に残すことになったものと考えられる。
また、普通貨物自動車の道板が上り線路を跨ぐように降ろされていたことについては、同自動車の運転者が、荷台後部の道板を立てた状態で同自動車を前進させると、道板が遮断かんに引っ掛かり、上り線路側に倒れて電車に接触すると思ったこと、及び交差点の手前で停止していた普通乗用車が移動したように見えたことにより、同自動車を前進させることができると判断したことから、道板を遮断かんに引っ掛けずに同自動車を前進させるために踏切内で道板を降ろしたものと考えられる。