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運輸安全委員会事故調査報告書【H26年11月27日公表】

投稿日時:2014-11-27 00:00:18 (1157ヒット)

【鉄道事故:2件】

番号 事業者、事故種類、発生日時・場所 事故概要 原   因
○流鉄(りゅうてつ)株式会社
○列車脱線事故(踏切障害伴うもの)
○H26.7.11(金)14時05分ごろ
○千葉県松戸市
流山線 小金城趾(こがねじょうし)駅~幸谷(こうや)駅間
馬橋駅 起点 2k501m付近
流鉄株式会社の流山駅発馬橋駅行き2両編成ワンマン運転の上り第68列車は、平成26年7月11日(金)、小金城趾駅を定刻(14時04分)に出発した。
列車の運転士は、速度約50km/hで力行ノッチをオフにし惰行運転中、約43m前方(車両は前から数え、前後左右は列車の進行方向を基準とする。)にある第11号踏切道の左レール付近に左側から進入してきた普通自動車を認めたため、非常ブレーキを使用したが間に合わず、同自動車と衝突し、列車の1両目車両の前台車全2軸が脱線した。
この事故により、同自動車の運転者及び同乗者が死亡し、列車の乗客5名が負傷した。
本事故は、列車が第4種踏切道である第11号踏切道を通過する際、乗用車が踏切道に進入したため、列車の前面左側下部と衝突後、乗用車が列車に引きずられながら線路左側の電柱に衝突して、列車の1両目前台車の左側に接触したことにより、前台車全2軸が脱線したものと考えられる。
乗用車の運転者は、ふだんから、同踏切道に設置されている反射鏡により、接近する列車を確認していたと考えられるが、列車が通過する直前に乗用車を踏切道に進入させた理由については、明らかにすることはできなかった。
2 ○九州鉄道株式会社
○踏切障害事故
○H25.11.5(火)  8時25分ごろ
○佐賀県武雄(たけお)市
佐世保線 高橋駅構内
九州旅客鉄道株式会社の鳥栖駅発早岐駅行き2両編成の普通第4927M列車は、平成25年11月5日、ワンマン運転により北方駅を定刻(8時21分)に出発した。
列車の運転士は、高橋駅構内を速度約50㎞/hで惰行運転中、前方の線路と交差する新堀県道踏切道内に異物があることを認めたため、直ちに非常ブレーキを使用したが間に合わず、列車は普通貨物自動車(大型トレーラ)の荷台の後あおり及び荷台に積載していた鉄板に衝突し、同踏切道から約106m行き過ぎて停止した。
列車には、乗客65名及び乗務員1名が乗車しており、乗客10名が負傷した。また、大型トレーラには運転者のみが乗車していたが、負傷はなかった。大型トレーラに積載していた鉄板は、列車の衝突により荷台から落下したが、公衆に負傷はなかった。
列車は、先頭車両の前面及び右側面等を損傷し、大型トレーラは、車体(荷台)の一部を損傷したが、火災の発生はなかった。
本事故は、列車が新堀県道踏切道を通過する際に、踏切直近の交差点で停止信号により停止していた普通貨物自動車(大型トレーラ)が、荷台の後部及びそこに積載していた鉄板を踏切内に残したまま、列車の進路を支障していたため、列車がそれらと衝突したことにより発生したものと推定される。 大型トレーラの荷台の後部及び鉄板を踏切内に残したままの状態で、大型トレーラが停止していたことについては、踏切直近の交差点の停止線から踏切までの距離が、鉄板を含めた大型トレーラの全長よりも短く、列車の進路を支障する可能性があったが、道に迷った大型トレーラの運転者は、当初通行を予定していた道路に戻ることに意識を集中させて、そのことに気付かなかったものと考えられる。
なお、列車が大型トレーラと衝突したことについては、踏切内に残されて列車の進路を支障していたシートに覆われた状態の鉄板の厚さが薄く、列車の運転士は、支障物として認識し難かったこと、また、障害物としての荷台及び鉄板の位置が、踏切障害物検知装置の検知範囲内になく、検知しなかったことから、早期に非常ブレーキを使用するに至らなかったことが影響したものと考えられる。

参考資料1 (流鉄 流山線)

参考資料2 (JR九州 佐世保線)