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運輸安全委員会事故調査報告書【H25年8月30日公表】

投稿日時:2013-08-30 00:00:03 (1029ヒット)

【鉄道事故:1件】

番号 事業者、事故種類、発生日時・場所 事故概要 原因
1 東海旅客鉄道株式会社
鉄道人身障害事故
H24.7.24(火)12:58ごろ
静岡県静岡市
東海道線 東静岡駅構内
東海旅客鉄道株式会社の身延線甲府駅発東海道線静岡駅行き3両編成の下り特急第4006M列車(ワイドビューふじかわ6号)は、平成24年7月24日、清水駅を定刻に出発した。
列車の運転士は、通過駅である東静岡駅ホーム進入時、速度約92km/hで惰行運転中、同駅構内下り線路の右レール(前後左右は列車の進行方向を基準とする。)とホームの間を静岡駅方面に向かい、列車に背を向けて歩いている中継見張員を認めたため、気笛吹鳴と同時に常用ブレーキを使用した。しかし、中継見張員が線路外に避難しないため、非常ブレーキを使用したが間に合わず、列車は中継見張員と接触し、中継見張員は死亡した。
列車は、1両目(車両は前から数えることを基準とする。)の右側面に軽微な損傷が見られた。
列車には、乗客29名、運転士1名及び車掌1名が乗車していたが、死傷者はいなかった。
本事故は、隣接する静岡駅で実施される工事の中継見張員が、列車見張り位置である東静岡駅ホーム上の静岡駅方終端付近に向かう際に、同駅下り線路内に立ち入り、列車に背を向けてホームに沿って線路内を歩いていたため、列車の接近に気付くのが遅れ、気付いた後もすぐに線路外に避難せずにホーム終端方向に避難しようとしたことにより、列車に接触したものと考えられる。
このとき、中継見張員は、工事指揮者からの移動の指示を受けずに線路内に立ち入り、線路内を列車に背を向けて歩くなど、触車事故防止を目的とした遵守事項が守られておらず、また、中継見張員の見張り位置までの移動経路については、工事指揮者との間で認識の違いが生じていた可能性があると考えられる。
なお、中継見張員が、工事指揮者の指示を受けずに下り線路内に立ち入った理由、及び、列車の接近に気付いた後もすぐに線路外に避難しなかった理由については、明らかにすることはできなかった。