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運輸安全委員会事故調査報告書【H27年5月28日公表】

投稿日時:2015-05-28 00:00:02 (921ヒット)

【鉄道事故:3件】

番号 事業者、事故種類、発生日時・場所 事故概要 原   因
○関東鉄道株式会社
○踏切障害事故
○H26.10.27(月)12時17分ごろ
○茨城県下妻市
常総線 宗道(そうどう)駅~下妻(しもつま)駅間(単線)小島(こじま)1踏切道(第4種踏切道:遮断機及び警報器なし)取手駅起点35k124m付近
水海道駅発下館駅行き1両編成の下り普通第5087列車は、宗道駅を発車後、小島1踏切道の約15m手前を速度約75km/hで惰行運転中、同踏切道の左側から進入してくる原動機付自転車を認めたため、直ちに非常ブレーキを使用するとともに気笛を吹鳴したが間に合わず、列車は同原動機付自転車と衝突し、同踏切道から約205m進んだ地点で停止した。
この事故により、同原動機付自転車の運転者が死亡した。
本事故は、列車が第4種踏切道である小島1踏切道に接近しているにもかかわらず、原動機付自転車が停止することなく同踏切道内に進入したため、列車と衝突したことにより発生したものと考えられる。
原動機付自転車が列車の接近している踏切道内に進入した理由については、原動機付自転車の運転者が、列車が踏切道に接近していることを認知できなかったことによる可能性があると考えられるが、本事故直前における原付運転者の視野などが不明であることから、詳細を明らかにすることはできなかった。
2 ○銚子電気鉄道株式会社
○列車脱線事故
○H26.1.11(土)8時19分ごろ
○千葉県銚子市
銚子電気鉄道線 笠上(かさがみ)黒生(くろはえ)駅構内
外川駅発銚子駅行き2両編成の上り第14列車は、ワンマン運転により西海鹿島駅を定刻(8時18分)に出発した。
列車の運転士は、笠上黒生駅上り線に向けて、同駅構内の16号分岐器付近を速度約20km/hで走行中、足下から異音を感知したため、直ちに非常ブレーキを使用して列車を停止させた。
列車は、1両目(車両は前から数え、前後左右は列車の進行方向を基準とする。)後台車全軸及び2両目前台車全軸が、右へ脱線していた。
列車には、乗客9名及び運転士1名が乗車していたが、負傷者はいなかった。
本事故は、笠上黒生駅構内の16号分岐器(発条転てつ機)のトングレール先端付近において、基準線側を走行する列車の1両目後台車第1軸の右車輪のフランジ部が乗り上がり脱線して右基本レールと右トングレールの間を走行し、トングレール後端付近から右リードレール上に一旦戻って走行したあと右へ脱線した可能性があると考えられる。
16号分岐器のトングレール先端付近で乗り上がったことについては、
(1) 同分岐器内の通り変位により、列車1両目前台車第1軸の車輪がリードレール後端付近を走行したときに、1両目後台車第1軸の車輪がトングレール先端付近を走行することとなり、1両目の前台車と後台車は逆方向の通り変位を通過する状態になるため、車両がヨーイングしやすい状況となり、後台車は右方向に振られて右車輪のフランジ部が右トングレール側に接触するように寄って走行していた可能性があること、
(2) 同分岐器付近において、土砂を多く含んだ道床の状態、及び列車の車輪が通過するときのレールの沈み込みによって、同分岐器のトングレール先端付近では、列車の車輪がレールに乗り上がりやすい状態になっていた可能性があること
から、これらの要因が複合したことにより発生した可能性があると考えられる。
3 ○東京急行電鉄株式会社
○列車衝突事故
○H26.2.15(土)0時30分ごろ
○神奈川県川崎市
東横線 元住吉駅構内
渋谷駅発元町・中華街駅行き8両編成の01運行231列車は、線路内が積雪していた武蔵小杉駅~元住吉駅間を走行中、運輸司令から、元住吉駅で停車位置の修正のため後退運転の準備中であった先行列車の渋谷駅発元町・中華街駅行き8両編成の23運行221列車との間隔をとるため列車を急遽停止するようにとの連絡を受けたので、非常ブレーキを使用して列車を停止させようとしたが0時30分ごろ元住吉駅2番線に停車中の先行列車の後部に衝突した。
両列車には乗客約140名及び乗務員4名が乗車しており、乗客72名が負傷した。
本事故は、降雪時の線路上を走行中に、先行列車の駅での過走後の処理のために、運輸司令から急遽停止の指示を受けた後続列車が非常ブレーキにより停止しようとした際に、必要なブレーキ力が得られなかったため、停車していた先行列車と衝突 したことにより発生したものと考えられる。
後続列車で必要なブレーキ力が得られなかったのは、非常ブレーキの動作時に空気ブレーキの制輪子が車輪に押し付けられた際、車輪踏面と制輪子摺動面間の摩擦係数が大きく低下していたためと考えられる。摩擦係数の低下には、車輪と制輪子の間に、線路内の積雪、車輪フランジ部に残っていた油分、制輪子に付着していた塵埃などが液体状に混ざり合って供給されたことが関与した可能性があると考えられる。

参考資料1 (関鉄・常総線)

参考資料2 (銚子・銚子電気鉄道線)

参考資料3 (東急・東横線)

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