第七章 運転保安設備 第二節 保安通信設備 (保安通信設備) 第六十条 停車場、変電所、運転指令所、電力指令所その他の保安上又は運転上必要な 箇所の相互間には、迅速に連絡通報することができる保安通信設備を設けなければなら ない。 Ⅶ-7 第60条(保安通信設備)関係 [解釈基準] 1 電力指令所と運転指令所の間、電力指令所と変電所(被監視変電所を除く。)の間、運転指 令所と主要な停車場の間及び閉そくの取扱い又は列車の運転の方向を打ち合わせる停車場相互間 に設ける保安通信設備は、専用の回線を有すること。 2 新幹線の運転指令所と列車との間には、専用の保安通信設備を設けること。 3 主として地下式構造又は高架式構造の鉄道並びに懸垂・跨座式鉄道、案内軌条式鉄道及び浮 上式鉄道の本線にあっては、いずれの列車等からも変電所、電力指令所又は運転指令所に連絡通 報することができる専用の保安通信設備を設けること。 (架空通信線の施設) 第六十一条 架空通信線は、他の交通の支障となるおそれのない高さに施設しなければ ならない。 2 架空通信線は、人及び機器に危害を及ぼすおそれのないよう、かつ、他の電線との 混触障害及び雷害を防止することができるように施設しなければならない。 Ⅶ-8 第61条(架空通信線の施設)関係 [解釈基準] 1 架空通信線の高さは、次の基準に適合するものであること。 (1) 鉄道又は軌道を横断する場合にあっては、レール面上6メートル以上とすること。 (2) 道路上に設ける場合にあっては、道路面上5メートル以上とすること。ただし、交通に支 障を及ぼすおそれの少ない場合その他特別の事由があるときは、その高さを4.5メートル (車道と歩道とが区別されている道路の歩道上にあっては、2.5メートル)まで減ずること ができる。 2 架空通信線に接続する電話機の設置箇所には、他の電線との混触障害、雷害等に対する保安 装置を設けること。 第三節 踏切保安設備 (踏切保安設備) 第六十二条 踏切保安設備は、踏切道通行人等及び列車等の運転の安全が図られるよう 、踏切道通行人等に列車等の接近を知らせることができ、かつ、踏切道の通行を遮断す ることができるものでなければならない。ただし、鉄道及び道路の交通量が著しく少な い場合又は踏切道の通行を遮断することができるものを設けることが技術上著しく困難 な場合にあっては、踏切道通行人等に列車等の接近を知らせることができるものであれ ばよい。 Ⅶ-9 第62条(踏切保安設備)関係 [解釈基準] 1 踏切保安設備は、踏切遮断機を備えたものであること。ただし、列車が130キロメートル 毎時以下の速度で通過する踏切道であって、鉄道及び道路の交通量が著しく少ない場合又は踏切 遮断機を設置することが技術的に著しく困難な場合は、踏切警報機を備えたものであればよい。 2 踏切遮断機及び踏切警報機の警報装置は、次の基準に適合するものであること。 (1) 線路の両側において、通行者に警報を発するものであること。 (2) 踏切道に向かって左側に設けること。ただし、施設の状況等に照らしやむを得ない場合は、 この限りでない。 (3) 2個以上の赤色せん光灯を設けること。 (4) (3)の赤色せん光灯は動作中交互に点滅すること。 (5) (3)の赤色せん光は、見通し距離が45メートル(地形上等により道路を通行する自動車 等が35キロメートル毎時を越える速度で接近することができない踏切道にあっては、2 2メートル)以上であること。 (6) クロスマークを設けること。 (7) 黄色及び黒色により帯状に塗装されていること。 (8) 警音を発する装置を設けること。 (9) 2以上の線路に係る踏切道にあっては、列車進行方向指示器を設けること。 (10)オーバーハング型警報装置にあっては、赤色せん光灯を踏切道における車道面上の有効 高さが、4.5メートル以上になるように設置すること。 3 踏切遮断機の遮断装置は、次の基準に適合するものであること。 (1) 線路の両側において、踏切道の通行をその幅員の全体にわたり遮断するものであること。 (2) 踏切道に向かって左側に設けること。ただし、施設の状況等に照らしやむを得ない場合は、 この限りでない。 (3) 遮断かんは、次に掲げるところによること。 ① 遮断時には、道路面上0.8メートルの高さ(2段型遮断装置の上側の遮断かんにあっ ては、下側の遮断かんの上方)において水平となることを標準とすること。 ② 遮断時以外には、道路面上の有効高さが4.5メートル以上となること。 ③ 黄色及び黒色により帯状に塗装されていること。 ④ 2個以上の赤色灯又は赤色の反射剤を通行者から見やすい位置に設けること。 ⑤ 大型遮断装置の遮断かんにあっては、遮断時に踏切道における車道を遮断する部分の鉛 直方向の長さは、0.1メートル以上であること。 4 踏切遮断機は、次に掲げるところにより動作するものであること。 (1) 列車等の接近により自動的に動作を開始するものであること。ただし、踏切警手が配置さ れている踏切道又は停車場内の踏切道若しくは停車場に近接する踏切道(以下「手動踏切道 等」という。)にあっては、この限りでない。 (2) 連続閉電路式又はこれと同等以上の性能を有する制御方式であること。ただし、手動踏切 道等にあっては、この限りでない。 (3) 警報の開始から遮断動作の終了までの時間は、15秒を標準とすること。この場合におい て、当該時間は、10秒以上であること。 (4) 警報の開始から遮断動作の開始までの時間は、通行者の通行に支障を及ぼすおそれのない ものであること。この場合において、道路の両側に遮断かんを設けたものにあっては、踏切 道に向かって右側の遮断装置は、踏切道に向かって左側の遮断装置の遮断動作が終了した後 に遮断動作を開始するのを原則とする。 (5) 遮断動作の終了から列車等の到達までの時間は、20秒を標準とすること。この場合にお いて、当該時間は、15秒以上であること。 (6) 列車及び車両ごとの警報の開始から到達までの時間は、当該列車等の速度等により大きく 異なるものでないこと。 (7) 列車等の通過後に遮断状態を解除する動作を開始するものであること。 (8) 列車等の過走により支障を生ずるおそれのある踏切道にあっては、当該列車等が過走によ り踏切道に到達する前に余裕を持って遮断動作を終了するものであること。 5 踏切警報機は、次に掲げるところにより動作するものであること。 (1) 列車等の接近により自動的に動作を開始するものであること。ただし、手動踏切道等にあ っては、この限りでない。 (2) 連続閉電路式又はこれと同等以上の性能を有する制御方式であること。ただし、手動踏切 道等にあっては、この限りでない。 (3) 警報の開始から列車等の到達までの時間は、30秒を標準とすること。この場合において、 当該時間は、20秒以上であること。 (4) 列車及び車両ごとの警報の開始から到達までの時間は、当該列車等の速度等により大きく 異なるものでないこと。 (5) 列車等の通過後に警報を停止するものであること。 6 踏切道に設けた自動の踏切遮断機又は踏切警報機に故障が発生したことを認めたときは、そ の踏切道に係員を配置し、又はその他の方法により通行人に注意を与える措置を講ずること。 7 踏切警報時間制御装置は、次の基準に適合するものとする。 (1) 列車等の種類又は速度を識別することにより、自動的に踏切遮断機又は踏切警報機(7に おいて「踏切遮断機等」という。)の動作の開始時期を制御するものであること。 (2) (1)に規定する制御を列車等の速度を識別することにより行うものにあっては、次に掲げる ところによること。 ① 2以上の位置でそれぞれ速度を識別するものであること。 ② 踏切遮断機等の最外方にある識別位置(列車等の速度を識別する位置をいう。以下同じ 。)以外の識別位置は、列車等が当該識別位置の外方にある識別位置を踏切遮断機等を動 作させることなく通過し、その後加速した場合においても踏切遮断機等を安全に動作させ ることができるものであること。 (3) 踏切警報時間制御装置の機能に障害が発生した場合においても踏切遮断機等の動作に支障 を及ぼすおそれのないものであること。 2 踏切保安設備は、列車の速度、鉄道及び道路の交通量、通行する自動車の種類等を 考慮し、必要な場合は、自動車が踏切道を支障したときにこれを列車等に知らせること ができるものでなければならない。 [解釈基準] 8 踏切支障報知装置は、次の基準に適合するものであること。 (1) 発炎信号、発光信号又は発報信号を現示する装置(以下「現示装置」という。)を設けた ものであること。ただし、近接する主信号機若しくは車内信号機に停止信号を現示するもの 又は停止を指示する制御情報を示すものにあっては、この限りでない。 (2) 操作装置又は障害物検知装置により現示装置を動作させることができるものであること。 (3) 発炎信号の信号炎管その他の現示装置の重要部分は、多重化したものであること。 (4) 発炎信号を現示する装置を設けた踏切支障報知装置にあっては、近接する主信号機若しく は車内信号機に停止信号を現示するもの、停止を指示する制御情報を示すもの又は列車等の 接近により再び発炎信号を現示するものであること。 9 8(2)の操作装置は、次の基準に適合するものであること。 (1) 線路の両側に押しボタン、開閉器等の操作スイッチを設けること。ただし、単線に係る幅 員の狭い踏切道又は操作スイッチを専ら踏切警手が取り扱う踏切道にあっては、線路の片側 の操作スイッチを省略することができる。 (2) (1)の操作スイッチは、次に掲げるところによること。 ① 踏切道付近であって容易に取り扱うことができる箇所に設けること。 ② 双子接点を有するもの又はこれと同等以上の性能を有するものであること。 ③ 保留機能を有するものであること。 ④ 夜間においても容易に識別することができるものであること。 ⑤ 取扱方法を明示したものであること。 (3) 復帰スイッチを設けること。ただし、列車等の通過により自動的に保留状態を解除するも のにあっては、この限りでない。 (4) (3)の復帰スイッチは、係員以外の者が容易に操作することができないものであること。 10 8(2)の障害物検知装置は、次の基準に適合するものであること。 (1) 閉電路式又はこれと同等以上の性能を有する制御方式であること。 (2) 自動車(二輪車等を除く)が踏切道を支障し、かつ、列車等が当該踏切道に接近した場合 に、光、電磁波、音波等により自動的にこれを検知するものであること。 (3) 原則として踏切道に係る線路の建築限界内にある自動車(二輪車等を除く)に対し て動作するものであること。 (4) 踏切道に対する支障が解消した場合に自動的に現示装置の動作を解除するものであること。 (5) 踏切道を通過中の列車等に対して動作しないものであること。 第四節 雑則 (障害発生時の安全確保) 第六十三条 運転保安設備は、電気機器及び回路の特性に応じ、その機能に障害が発生 した場合においても列車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれのない機能を有しなけれ ばならない。 Ⅶ-10 第63条(障害発生時の安全確保)関係 [解釈基準] 1 運転保安設備は、電気機器及び回路の特性に応じ、その機能に障害が発生した場合において 列車等の運転の安全に支障を及ぼすおそれのない機能を有しなければならない。